火災は火事は季節を問わず起こり得ます。
とくに空気が乾燥すること、暖房器具を室内で使うことが主な原因になっていると言われます。
最近では人為的な火災事件も起こっており、万が一の危機のためにも、あらかじめ火災が発生したときに「どう振る舞えば」ということを含めて考察してみました。
今回は「火災時の対策・心得」を紹介していきます。
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火災が発生する時の流れと対処法
火災が発生する流れとその対処についてまとめていきます。
以下にそれらの内容を順を追って紹介していきます。
高齢者の火災
住宅火災で亡くなる原因で多いのが「たばこ・マッチ・ライター」「暖房器具」「調理器具」の3つが挙げられています。
この中で「たばこ・マッチ・ライター」による着火対象が「ふとん」が多いということ。
これはつまり「一人暮らしの高齢者は、布団を敷きっぱなしにしていることが多い」ことにあるとしています。
体が弱くなっていき、布団の上げ下ろしが大変になるので、そのままにしていがちな中で、寝たばこで火災を発生させてしまうというのです。
他にも物忘れをしないために「メモ用紙」を部屋のあちこちに貼っていってしまうことで、そこに火が移りやすいということも指摘されています。
「火災報知器」を設置しておく、消火器を部屋に置いておく、ことが必要になってくるのではと思います。
あとは近親者や近所の方が定期的に訪れて、部屋の掃除などを手伝うなどの活動も、火災を未然に防ぐ手立ての一つになるのではと思います。
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火災が起きた時の対処法
段階に分けてのそれぞれの対処法です。
①火災を見つけたら、近隣に知らせること(大声で)
②119番はその地域の消防指令センターにつながるので、消防車が現地に訪れるまでには時間がかかる。
なので、火災が起きた現場で連絡するのではなく、安全な場所に移ってから電話すること(火災直後の現場で身を守れるのは自分と近隣の住人だけ)
③火災を発見したときの「初期消火」は天井に火が達するまでに行う。
天井に火が達してしまうと、まず助からないので、そうなったらとにかく逃げること。
④ふすまや障子・板塀などが燃えた時は、蹴り倒して消火器を噴射したり、水をかけたりして消火
⑤電気器具が燃えたら、いきなり水をかけると感電する危険がある。
なのでまずはコンセントを電源から抜くか、ブレーカーを落として消火すること
⑥てんぷら油が燃えた時は、水をかけると膨張して爆発を起こすので、絶対にしてはならない。
その場合は消火器を使うこと。
消火器がない場合は、水を含ませた大きめの布を上から覆いかぶせて消火すること(ひっくり返す危険があるので、基本は消火器を使用することが勧められている)
⑦灯油ストーブが燃えた時は、水で濡らした毛布やシーツを燃えている部分を覆って、その上から水をかけると消化が可能。消火器がある場合はそれで消火を行うこと。
以上のように基本的には「消火器を使う」ことが前提になっています。
水はやり方によっては火を拡散させてしまう危険もあるので、薬剤が含まれた消火器の使用がベースになります。
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住宅火災が起きた時の避難法
火災が起きてからの段階を踏んだ避難方法をまとめていきます。
①避難するタイミングは「初期消火」に失敗したとき
②逃げる時は、必ず火災が発生している部屋のドア(扉)を閉めていくこと。
延焼の拡大や空気が入り込むことで火が大きくなることを防ぐためです。
③避難するときは「体勢を低くして」逃げること。
煙や一酸化炭素などの毒ガスは、熱せられて軽くなり、上の方に集まっていくからです。
煙が少ないために視界も広がり、脱出先を見通すこともできます。
④壁伝いに逃げること。
廊下などを移動するときに煙で視界が遮られることが想定されます。
このときも態勢を低くして、手で壁をさぐりながら移動しましょう。
⑤エレベーターは使わないこと。
遮蔽性が薄く煙や有毒ガスを防ぎきれない、停電になったときに閉じ込められる可能性があるからです。
非常階段を使って避難しましょう。
⑥マンションや集合住宅の場合は、ベランダに設置している各部屋ごとの仕切り版を壊しながら、非常階段に向かって避難するようにしましょう。
仕切り版がない場合は、バルコニーの床面に避難用ハッチが設置されていることがあるので、それを使って階下に避難することです。
⑦マンションなどで火災が発生したとき「自分の部屋より階下」で起きたときは、すぐに近くの階段で避難すること。
同じフロアならその部屋から反対方向の階段へ。
上の階で発生した場合は危険は少ないので、慌てずに火災が起きている部屋から反対方向の階段で避難すること。
⑧最悪の場合は「籠城」を考えること。
あくまで自分の部屋以外での火災発生という想定になります。
まずは「扉を閉じ」、扉の隙間を水で濡らしたシーツや布を詰めて煙や熱気を防ぐこと。
ドア全体に毛布をかぶせて水をかけ、部屋の温度が上がるのを防ぐこと。
浴槽に水をためて閉じ籠るなどです。
その間にスマホなどで助けを求めて待つことです。
⑨戸建ての火災で高齢者の被害を防ぐ方法として、避難しやすい一階の部屋での居住を勧めることです。
2階だと、体が弱くなった高齢者の避難に困難が生じるからです。
集合住宅や戸建てでの避難の際には、低層階であれば、ベランダから「避難はしご」を使って降りる方法も良いと思います。
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本書ではシーツやカーテン、毛布などを結んでロープ代わりにして下に降りるという方法も推奨されていましたが、結び方が甘いと途中でほどけてしまうので、事前にロープワークなどを学んでおくと良いでしょう。
地震による火災が起きた時の対処法
大地震が起きると同時に火災も発生しやすくなります。
私が阪神淡路大震災を経験したときは、近くの街が大火事になり、1週間ほどは燃え続けていたことを覚えています。
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そのときに倒壊した家屋の下敷きになり、火に巻き込まれて犠牲になった方々も多くいて、それを後に聞いた時にはものすごく心が痛みました。
私も友人のそうした形で亡くしており、震災時の火災は本当に危険だと認識しております。
災害地での火災は一度発生してしまうと、止めることは容易ではありません。
ましてや大地震が起きて倒壊した家屋の下敷きになっている人を救うことは、非常に困難を伴います。
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そのためには「未然に火災を防ぐ努力をすること」が大切になります。
各家庭でできる防火は一つ一つは些細なことかもしれませんが、積み重なることで大きな火事を防ぐことができます。
①ガス栓・器具栓を閉める
②室内で使っている火は消す
③ブレーカーを切る(通電火災を防ぐため)
④暖房器具を使う時は「耐震消火付き」のストーブなどを使う
⑤火気を扱う器具に可燃物が当たらないように、家具などを固定しておく
③の「通電火災」というのは、電力が復活した際にそこから火が発生してしまうことです。
被災直後に停電で電気が止まっている間は良いのですが、倒壊した家具や転倒した家財道具の近くに電気器具があると、そこからの出火の危険があります。
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そのためにブレーカーを切って避難することが求められています。
耐震ストーブは、一定以上の震度を感じると、自動的に火が消えるようになっているストーブです。
阪神淡路大震災のときに、部屋にあったストーブは「転倒すると自動的に火が消える」タイプだったため、火災を防ぐことができました。
以上のように事前に火災のもとになる要素をひとつずつ消していくことが、個人でできる地震火災を防ぐための心得になると思います。
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あとは逃げる時に「防災頭巾」を用意しておくと、頭部を火の粉などから守ることができるので、こちらも検討してみてください。
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まとめ
火災は昔から「地震、雷、火事、親父」といわれるくらいに「4大怖いもの」として知れ渡ってきました。
とくに木造家屋がほとんどだった江戸時代では、火災を起こすと厳罰を処せられたと言われています。
風に乗って瞬く間に街全体を焼き尽くし、多くの命を奪うことになる火災は、身近に起きやすいだけに場合によっては地震や津波よりも恐ろしい災害といえるのかもしれません。
最近では放火による火災も増えています。
こうした不意の火災から身を守るために、普段からそのための対策を考えておく必要があるのではないでしょうか。
今回の記事が今後の火災事故への防災知識として役立てれば幸いです。