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地震で自宅が全壊した経験から考えた【新築・リフォーム】の条件まとめ

2022年3月7日

日本は地震大国なので、毎日ほぼどこかしらで大小の揺れが発生しています。

それに対する対応も昔からされていて、耐震の建築技術は世界でもトップレベルですね。

しかしここ数十年単位で起きた地震は過去でも珍しいほどの大きさでしたし、これから発生する可能性が非常に高いといわれる南海トラフ大地震や首都直下型地震も、さらに巨大な被害をもたらすと言われています。

そんな大地震に耐えられる自宅を作るにはどうすれば良いのでしょうか?

私自身、1995年に起きた阪神淡路大震災で自宅が全壊した経験があります。

29年前の阪神淡路大震災で体験したこと、必要だと感じたこと

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もう30年近く前の体験になりますが、今でもあの当時の記憶は生々しく残っています。

今回はそんな過去の体験を踏まえつつ、最近読んだ書籍の情報を下地にした「地震に強い家」についての提案をまとめていきたいと思います。

*書籍の紹介は記事の最後にしています

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【地震に強い家とは】まとめ

建築基準法に即した住宅が最低条件

まず始めに「建築基準法」についてです。

私が震災前に住んでいた自宅は昭和30年代に建てられた古い木造戸建てで、もともと住んでいた住人が越した後に私の両親が移ってきた賃貸の戸建てでした。

このときの家はもちろん「建築基準法」の「新耐震」よりも以前の建築基準で建てられていました。

建築基準法とは「国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律」(参照元:wikipedia)で、過去に数度改正されています。

この中の「耐震」については、1981年に改正があって以降「新耐震」と呼ばれる基準が定められ、さらに2000年に改正が加えられて、木造建築に関する耐震基準の強化が図られています。

日本国内で建物を建てる際は、建築基準法を守らないといけません。

震災で自宅は倒壊してしまいましたが、もしこの当時の家が「新耐震」基準で建てられていたら、ひょっとしたら倒壊は免れたのかもしれません。

同じく我が家と同じ並びに立っていた賃貸戸建てのご近所さんも、ほとんど全てが倒壊していました。

同じ家主さんの賃貸家だったので、たぶん古い建築基準法に沿った家だったと思われます。

ただ壊れ方にはそれなりの工夫が加えられていて、おそらくですがそれが理由で完全な全壊は免れたと推測します。

そのあたりは後で詳しく述べますが、とりあえずは「建築基準法」の耐震基準に即した家でない場合は、大きな揺れでは容易に倒壊してしまうリスクがあるということ。

新耐震以前に建てられた我が家やご近所さんの家の倒壊が、まさにそれを示しているなと思いました。

地震で自宅が倒れないための対策【耐震】

倒壊した我が家は2階の天井が滑り落ちてきていて、一階に寝ていた両親は部屋の隙間を縫って、なんとか家の外に脱出することができました。おそらく耐震構造としてはかなり脆弱な家だったと思います。

木造建築でしたが、家の土台になる柱部分は無事だったので、強度の強い昔ながらの木材が使われていたのかもしれません。

倒壊した時に天井が落ちてきていたのですが、真下ではなく柱が斜めに倒壊することで、家全体が「平行四辺形」の形でひしゃげたこと、そのときに出来た「家のスキマ」が家族の命を救うことになりました。

後に「昔の家は地震が来ても平行四辺形に倒壊して隙間を作り、住人が逃げやすいように設計していた」ということを聞き、まさにその通りの結果になったので、さすがは伝統の工法なのだなあと感心したことを覚えています。

家が地震で倒れないようにするために、設計段階で2つの方法が取られています。

それが耐震制震です。

耐震は「家の構造そのものを強化して、揺れに耐えて建物を強固にする」構造で、制震(制御)は「家の揺れを抑える」構造です。

家の地震対策というと「耐震」(揺れに強い)が先にきますが、耐震構造の家はそのために様々な工夫がなされています。

具体的にいうと「住宅を支える構造体(基礎・柱・梁・壁)とそれらをつなぐ接合部分の器具を強化すること」であり、そのためにそれぞれの建材に特殊な工夫が加えられます。

その一例としては、

・檜を使う。杉に比べても荷重に強いため

・強度の高い「欧州赤松」が推奨

・地震の揺れや台風などの強風に耐えるために「筋交い」「強度の高い素材」「モノコック工法」などの工夫が壁に施される

という感じですね。

地震で自宅が倒れないための対策【制震】

倒壊した震災前の我が家は当然ながら、近代的な制震システムはまったく備えていませんでした。

せいぜいが建材の組み合わせによる、伝統的な「耐震」が精一杯だったと思います。

耐震構造を施すことで家の強度はあがりますが、大きな地震に遭うと、どうしても筋交いや建材をつなぎとめる金具の劣化などが発生し、耐震レベルが落ちてしまいます。

この状態で再び大きな揺れが起きると、その際に倒壊するリスクもありえるわけですね。

それを防ぐために「地震の揺れ」を吸収する仕組みを作り、家に与えるダメージをできるだけ減らす工夫が必要だということ。

それが「制震」というわけです。

具体的には、

建物の内部に制振部材(油圧式オイルダンパーやゴムダンパー)を組み込む

工夫がなされています。

オイルダンパーは車のショックアブソーバーの技術を応用した工材で、揺れの幅に関わらず対応が可能です。

その特徴は、

・台風時の暴風にも対応することができる

・小型なので家の間取りを制約しないのが特徴

ということですね。

できるだけ居住空間にスペースを充てたい個人の戸建て住宅としては、間取りを邪魔しないサイズは助かりますよね。

も一つは「ゴムダンパー」です。

伸び縮みすることで地震の揺れを熱エネルギーに変換し、パワーを減殺するダンパーとなっています。

伸縮性の強いゴムが使われているので、繰り返しの揺れが来る余震にも対応可能。

他のダンパーに比べて安いコストで設置できるのが助かります。

さらに横揺れに特化した仕組みとして、「減震摩擦工法」があります。

基礎コンクリートと土台の木材の間に取り付けた金属板によって、揺れとは反対側の力が加わり、地震の揺れを軽減してくれる工法です。

横揺れのレベルを下げてくれるので、低い住居に有効となっていますね(低い大きな平屋など)

地震で家が倒壊しないための対策【地盤に注意する】

震災前の自宅は地盤に関してはとくに問題はなかったのですが、住んでいた地域全体が地震の影響を受けやすい場所柄ではありました。

実は私自身は震災当日は友人宅で過ごしており、そこでは実家ほどの被害はありませんでした。

その友人の家は山近くにあったため、付近の住宅も地震による被害はほぼゼロに近かったと思います。

それが南に下れば下るほど(海に近くなる)、街全体の被害が拡大していましたね。

後に調べてみると、住んでいた地域は昔は海岸線近くにあって、埋め立て地まではいかないのですが、地盤的にそれほど強い場所ではなかったことが分かりました。

もしもう少し北に住んでいれば、自宅の被害は少なく住んでいたのかもしれません。

このように地震による倒壊を防ぐために家の強化だけでなく、家を建てる地盤にも気を付けなければいけません。

家を建てる、または建っている場所の地盤が緩かったり、もともと川や海だった場所を埋め立てた土地だったりすると、地震の揺れで攪拌されて「液状化現象」を引き起こしてしまいます。

山間部の谷あいなどに土をかぶせて埋め立てた「盛り土」の土壌でも、地盤の弱さで台風や地震で崩れたりする危険があります(2021年10月に起きた熱海の土石流災害)

2000年以降の新築戸建ては、新築住宅瑕疵担保責任保険に加入することが義務付けられており、建築前に地盤調査を行い、地盤が悪ければ地盤改良工事、杭工事を行うようになっています。

戸建てを新築する際は、担当する工務店などと相談しながら、地盤のチェックも入念に行うことが必要ですね。

もし自分が住んでいる場所の地盤が気になるのであれば、国土地理院の土地条件図で地盤チェックが可能です。

土地条件図

もし地盤が弱いと分かったら、可能であれば専門家に相談し、今後の住宅の仕様についても検討してみると良いかも知れませんね。

地震で家が倒壊しないための対策【シロアリに注意する】

木造住宅の脅威の一つがシロアリです。

家の柱や壁を食べるシロアリが棲家にしていると、その家の強度が弱まり、耐震性も劣化します。

とくに築20年以上の戸建てだと、8割以上がシロアリの被害に遭っているといわれてます。

シロアリに関しては、震災前の我が家はおそらく「生息していた」と思われます。

なにせ昭和30年代に建てられていた古い木造建築でしたからね。

幸い住んでいるときに特に目立ったシロアリの被害は見受けられませんでしたが、ひょっとしたら気づかないところでシロアリに家の建材を食い荒らされていて、それが原因で地震で倒壊してしまったのかもしれません。

シロアリの業者に依頼してチェックしてもらうことは、私の両親はしていなかったと思うので、たぶん、いや、きっと住んでいたでしょうね(苦笑)

シロアリの除去には、木材の表面に薬剤を散布するか、木材の中に穴をあけてそこに薬剤を注入する方法がよく使われます。

ほかにもベイト剤という殺虫成分が入った毒餌を地中に埋める方法もあります。

もしリフォームを考えていたり、新たに新築する予定があるならば、建築に使われる木材の中でも「檜」は防腐、防蟻に強いとされていますので。工務店やハウスメーカーと相談してみると良いと思いますよ。

地震に強い家を作るためには、ハウスメーカーや工務店に工事の依頼を行う必要があります。

それぞれのサービスには特徴があり、それに合った対応の仕方も存在します。

残念ながら私は戸建て住宅の購入や賃貸は経験したことがないので(マンションだけです)、ここから先は今回参考にした書籍の情報を要約という形で紹介させてもらおうと思います。

ではまずはハウスメーカーと工務店の違いについてです。

ハウスメーカー 工務店
・全国展開している22社

・ネームバリューがあるので安心できる

・工場で作ったものを現場に運んでくるので仕事が早い

・仕事の流れが決まっているので、個人的な要望が通りにくい

・地域ごとにある

・ハウスメーカーに比べて安い

・地域密着型なので口コミを集めやすい

・工務店によってサービスのバラツキがある、見極めが難しい

価格は少々かかっても、安定したサービスを提供してくれるハウスメーカーか、地方ならではのニッチな要望にも応えてくれる工務店という比較になりましょうか。

どちらも一長一短ありますが、失敗が少ないという意味ではハウスメーカーのほうが良いなという気はしますね。

逆にこだわりの自宅にしたい場合は、臨機応変な対応が期待できる工務店という感じでしょうか。

次に「避けた方が良いハウスメーカー・工務店」「良い営業マン」の条件について見ていきます。

【避けるべきハウスメーカー・工務店】

・見積もりを出さない

・打ち合わせの内容を書面で残さない

・工事中の家の見えない場所を汚す

・ゴミを捨てる

・建築基準法を守らない

・お金の請求の段階が不審

*たとえば「契約金→着工金→中間金→最終金」の過程が不明瞭など

【おすすめな営業マン】

・コミュニケーションが丁寧

・説明やヒアリング、確認事がしっかりしている

・打ち合わせの内容を書面に残してくれる

全体的に「コミュニケーションを密にとれる」業者が最低ラインという感じですね。

どんな業種も共通していますが、「ユーザー目線の対応」をしてくれる業者が基本だと思います。

いくら工事の出来栄えが良くても、人間的に信用できなければ安心して大きな買い物ができませんからね。

では最後に「中古物件を探す時にチェックするポイント」を紹介してみましょう。

・築年数をチェックする(1981年6月以降の家を選ぶ)

・壁が多いか少ないかをチェックする(木造住宅の耐震性に関わる)

・床下の水漏れ、天井や壁の雨漏りをチェックする(シミがあるかどうかを調べる⇒内部に染みこむと木材が腐って耐震強度が下がるため)

・換気をちゃんとしているかをチェックする(給気口と排気口→湿気が溜まる、建材を腐食させる)

建物が作られた月日を明確にすることは「建築基準法」をクリアした安全な物件であるかどうかの大事な判断基準になります。

建材の組み合わせや、家にダメージを負わせる水回りの管理も重要であることも分かります。

建材内部をきちんと管理することは、地震などの災害への対策につながりますので、こういったことを意識して家を探すことが前提ですね。

【まとめ】地震に強い家にリフォーム・新築する際のおすすめ本

以上が私自身の震災体験と「災害に強い家」の書籍情報を合わせた「提案記事」になります。

震災前に住んでいた自宅が木造戸建てだったこともあり、記事を書き進めつつ自分自身の体感や記憶をたどることができたのも、今回の記事を書いてよかったなと感じる理由になっています。

今回参考にした書籍は地震だけでなく、台風や火災についての「災害に強い家」のための情報を提供してくれています。

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著者自身が建設会社の経営者であることから、リフォームや新築する際に気を付けるべき点、業者の選び方などが専門家視点かつユーザー目線で書かれているのも魅力ですね。

同じく「地震に強いマンション」「台風に強いマンション「火災に強いマンション」シリーズを体験者目線でまとめていますので、以下の記事もよければ参照ください。

地震に強いマンションの条件について【実体験ベース】

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台風・津波・浸水に強いマンションについて【実体験ベース】

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火災に強いマンションの条件について【実体験ベース】

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