災害対策

豪雨災害から身を守る方法【土砂崩れ・洪水対策】

2018年7月16日

激しい雨による川の氾濫や土砂崩れの被害は予想以上に甚大です。

2018年7月の西日本豪雨災害では、14府県で死者数が219人、一府4県で21人の安否不明、避難者数は16府県で4800人に上るとされています。

梅雨前線の影響で大雨になった、2020年7月4日の熊本県琢磨川の氾濫による水害では、多数の住宅や施設が浸水し、熊本・鹿児島両県で約20万に避難指示がでるほどになっています。

今回はここ数年で重なる大雨水害についての考察と対策を述べていきたいと思います。

*本サイトの記事内に広告が含まれる場合があります

豪雨災害の原因は何だったのか?

from: twitter

前回の大雨発生時で取り上げた記事では、豪雨そのものは梅雨前線の停滞によるものだという発表情報を取り上げました。

15日付の読売新聞では(購入している紙媒体)、今回の一連の災害の原因と今後警戒すべき事柄を、キーワード別に取り上げています。

西日本豪雨 キーワードで探る

4つの原因と対策が述べられており、今回の豪雨災害を考えるうえで、かなり参考になると思います。(以下に要点をまとめてみました)

①梅雨前線・線状降水帯によるもの

・梅雨前線を構成するオホーツク海高気圧と太平洋高気圧がせめぎあって停滞した

・そこに大量の水蒸気が南から流入し、上昇気流が発生したことで、同じ場所で積乱雲が帯状に連なる線状降水帯が広島県上空などで発生したことが豪雨の原因

②表層崩壊・コアストーンによるもの

・広島県や愛媛県などで、沢筋を中心に斜面の表土が崩れ落ちる表層崩壊が多発

・表土とともに、樹木などが滑り落ち、大量の流木が押し寄せた

・広島県内では、直径数メートルに達する「コアストーン」と呼ばれる巨大な石が流れて、住宅や建築物に被害をもたらした

・中国地方や九州北部の山間部に多い、花崗岩からなる地盤に特徴的な災害

③バックウォーター

・河川の合流地点で本流が増水することで支流の水がせき止められ、溢れた水が氾濫してしまう

・行き場を失った支流の水が堤防を越え、堤防が決壊するなどの浸水被害をもたらす

・川が合流する地点だと、全国どこでも発生する可能性あり

④異常洪水時防災操作

・豪雨で愛媛や京都などの8つのダムがほぼ満水になった結果、許容量を超えないように流水量と同程度の量を放流する「異常洪水時防災操作」が行われた

・放流することで下流では水位が急激に上昇し、浸水被害の可能性

・操作するにあたって地元自治体に連絡して、住民に周知するが、同措置を行った地域では川が溢れ、下流では死者が出たところもあった

・ダムが貯水して洪水を抑え、避難する時間を稼げる面もある

この中で特に怖かったのは、表層崩壊とコアストーンバックウォーターです。

表層崩壊による「山間部からの巨石の流出による住宅被害」に関しては、山が多い日本の地形では決して他人事ではないことだと思います。

氾濫した川で巨石が流されてしまうと、山とは無関係の郊外や都市部でもその被害を受ける可能性もあり、かなり危険な状況といえるでしょう。

後者のバックウォーターに至っては、自分の住む地域でも本川と支流が併存しており、いつ今回のような災害が起こってもおかしくない状況にあるという、身近な怖さがあります。(2019年10月に発生した台風19号でも東日本各地の河川で起こった)

記事によれば「川の中に堤防を作って、本流と支流の流れを仕切り、合流点を下流に移動させたり、本流の川幅を広げて水を流下させる能力を増やす対策が有効」と対応策を提示していますが、同時に「用地の買収や、地元との交渉が必要で、スムーズに進まない可能性もある」と問題点も挙げています。

こうした災害要因を防ぐためには、自治体や国の対策が必要不可欠ですが、個人による防止策も大切になってくるでしょう。

自治体が配布するハザードマップを参考にして、避難経路や避難場所を普段から確認しておくこと自宅が危険地域に指定されていたら可能であれば引っ越すこと、無理であれば、屋内での安全な脱出路の確認や、必要な防災用品の事前の準備をしておくべきだと思います。

自分で揃えるのが面倒・苦手な人向けの防災セット3ブランド

続きを見る

洪水や土砂崩れから身を守るには?

洪水対策

まずは住む地域を、危険な地域から少しでも離れた場所にすることが重要です。

参考にさせてもらったサバイバル本の著者(柘植久慶氏)の意見として、

・川の流れよりも、少しでも標高のある場所に住む

・山肌の露出した崖から、少なくともその頂点より45度以内に近づかない

・丘や山に近い川の流れから、少なくとも20メートル以上高い場所を選ぶ

と強調しています。

また洪水が起きてしまった場合を考え、以下のような対応策も提示されていました。

①普段から貴重品などを持ち出す用意を整える

②2階などの高い場所に運ぶ優先順位を決めておく

③浸水してきた場合に備え、脱出手段を講じておく(エンジン付きのボート、手漕ぎのボートなど)

④豪雨の中の脱出を想定して、貴重品と食料などは、防水加工のリュックなどに詰めておく

⑤転覆したり、水中に投げ出された場合を考え、救命胴衣を用意しておく

⑥豪雨で増水した川や流れを渡り切る必要が出た場合は、ロープで身体を結びあったり、しっかりと手をつないで集団で行動すること。この際は、体力のある人を先頭と最後尾にして、中間に比較的体力のない人を入れて、隊列を組むこと

「救命胴衣、ボート、防水加工のリュック(貴重品と水や食料)、ロープ」などが必需品のようですね。

【津波や浸水で役立つ】ライフジャケットおすすめ3選

続きを見る

有名ブランドの防災・アウトドア用リュックおすすめ

続きを見る

災害時に役立つパラシュートコードの紹介と柘植久慶氏との遭遇話

続きを見る

最後の脱出方法は、最悪の場合を想定した形になっていますが、参考にさせてもらった著者が元軍事関係者であることを踏まえ、緊急時の行動として信頼できるものではないかと思います。

また都市部での河川氾濫の対応方法としては、以前に取り上げたNHKスペシャル「河川津波特集」で述べられていた「高台に逃げること」「海や川から離れること」が大切だと思います。

土砂崩れ対策

一方の「土砂崩れ」が起きてしまった場合の事前準備と発生時の対応策として、著者は以下のような対策を提示しています。

①危険な地域から離れられないときは、二階で就寝するか、崖からなるべく遠い場所で寝る

②土砂崩れの犠牲者は、水分を多く含んだ土砂の下敷きになって窒息してしまうため、頭部を強打して意識を失わないように、頭部を守ること

③フルフェイスのヘルメットを枕もとに置き、土砂が迫ってきた際には、そのまま被り、その上から毛布かかけ布団をかけて、脱出路から逃げる

④準備がない場合は、立ち上がって掛け布団や毛布で上半身をガードし、土砂に埋もれても呼吸ができるようにする

⑤土砂に襲われたら、左右どちらか一方の肘で、鼻と口の部分を覆い、もう一方を下からあてがう(鼻孔からの土砂の侵入を防ぎ、呼吸を確保するため)

⑥付近に布や衣服があれば、それで口や鼻を覆って、呼吸を最優先で確保する

基本的には危険地域からの離脱が必須としてます。

それが無理な場合や、土砂に巻き込まれてしまった場合は、とにかく頭部の保護と、呼吸を確保することが、命を守る最優先事項であるようです。

実際にはなかなか難しいかもしれませんが、命を守るためには、呼吸の確保は最低条件であることは素人の私にも理解できますので、直面した際のために頭に叩き込んでおく必要がありそうです。

国家検定合格品の防災用ヘルメットおすすめ3選+1

続きを見る

まとめ

豪雨による河川の氾濫や土砂崩れは、平成29年7月の九州北部豪雨に続いて2年連続の災害となっています。

九州での豪雨も梅雨前線の停滞による「線状降水帯」が形成されたことで発生しました。

平成29年7月九州北部豪雨の被害状況と対応等について

豪雨の形成理由も、今回の西日本の豪雨の発生が、昨年と同じ7月であることを併せて考えれば、来年以降も日本の各地域で同様の豪雨が起こる可能性も捨てきれません。

そうした時にパニックに陥らないよう、普段から防災用品を用意しておき、台風や大雨の季節には、防災関連の情報や天気予報をこまめにチェックすること、自治体が配布する地域のハザードマップに目を通しておくこと。

自分や自分の家族を守るための最低限の準備を積み重ねていきたいと思います。

【水害対策まとめ】台風・豪雨・浸水・雷から自宅や家族を守る方法

続きを見る

[Ads]

-災害対策

Copyright© 防災を考えるブログ , 2024 All Rights Reserved.