災害が多発する近年、ロボットが果たす役割は年々大きくなっています。
災害大国といわれる日本はもちろん、海外でも地球環境の変化に伴い、これまでにない災害が頻繁に引き起こされています。
そんな中で過酷な状況下で活躍できるロボットの存在は必要不可欠。
人が入れない環境や視認性が著しく低くなる状況下では、ロボットなくしてスムーズな救助活動は難しいといえるでしょう。
救助以外の場面でもロボットの役割は多岐に渡ります。
今回はそんな防災の場面でロボットが活躍できるタイミングとフィールド、具体的なロボットの紹介していきます。
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代表的な災害ロボット【4種類】を紹介
まずは災害の現場で使われる代表的なロボットを紹介しましょう。
UAV(無人航空機=ドローン)
災害対応において最も広く利用されているロボット技術の一つです。
ドローンは空から広範囲を迅速に監視し、高解像度の画像や動画を提供します。
災害発生直後の評価や被災者の捜索、通信ネットワークの確立にも利用されます。
水中ロボット
津波や洪水の後、浸水地域の調査に活用されます。
水中での探索や構造物の点検を行うことができ、人間が直接入ることが難しい場所でも活動可能です。
被害の全容を把握し、効果的な復旧計画を立てることができます。
地上探索ロボット
瓦礫の中や危険な環境での探索に役立ちます。
蛇のように狭い隙間を通り抜けることができるロボットや、車輪やクローラーを使って不整地を移動できるロボットなどがあります。
地上での被災者の捜索や救助活動において欠かせないツールです。
自律走行車
災害時の物流に革命をもたらす可能性を秘めたツールです。
道路が損壊している場合でも、自律走行車は事前にプログラムされたルートやリアルタイムの障害物回避システムを用いて、安全に物資を届けることができます。
特に医療物資の緊急輸送にはその威力が発揮されます。
防災の現場で役立つロボット
ではいよいよ防災の現場で使われているロボットの紹介です。
日本の防災現場で現時点(2025年)で使われているものを取り上げていきましょう。
災害発生前のケース
予測と監視
災害発生前の段階において、ロボットは予測と監視の面で重要な役割を果たしています。
なかでも移動性に長けたドローンがそれにあたります。
山火事の発生リスクが高い地域や、洪水の危険がある河川地域を定期的に監視することができ、異常な温度上昇や水位の変動を早期に検知し、迅速な対応が可能。
人によるリスクを避けられる点で、大きな役割を担っているといえますね。
インフラ点検
地震や台風などの自然災害に備え、インフラの定期点検は非常に重要です。
その際に橋梁やビルの構造健全性を確認するために、ドローンやクローラーロボットが用いられます。
とくにクローラーロボットは、高精度のカメラやセンサーを搭載しており、人間がアクセスしにくい場所でも詳細な点検が可能になります。
災害発生時のケース
調査や探査
災害発生直後の最初の数時間は非常に重要。
被害の状況や実態を把握することで、その後の人命救助や物資の搬送のためのデータとして活かすことができます。
そのためのドローンや地上ロボットは、被災地の広範囲なエリアを短時間で調査し、被害の程度を評価するために使用。
救助活動の優先順位を決定し、リソースの効果的な配分が可能となります。
人命救助
現段階(2025年)では、レスキュー型に特化した「人を直接助けるロボット」というよりも、遭難している人や瓦礫に埋まってる人を「探し出す」タイプのロボットが現実的です。
具体的には「調査・探索型ロボット」になり、
- 瓦礫の中を自由に移動できる小型モデル
- カメラやマイク、CO2センサーなどを搭載し、生存者の位置を特定が可能
- 人が入れない狭い空間や危険な環境でも活動が可能
などの特徴があり、救助隊の安全も確保できます。
精巧な探査装置によって迅速なレレスキューが可能になるという点で、人命救助をサポートできるロボットといえるでしょう。
待望される人型のアンドロイドロボットですが、まだまだ実験段階なので、直接的なレスキューは困難でしょう。
とはいえ、その芽は出てきています。
米国のボストンダイナミクス社の人型ロボットもそうですし、日本のロボコンテストでも人型レスキューロボが登場しています。
実用化にはまだもう少し時間がかかりそうですが、このままいけば、そう遠くない日に救助員と肩を並べて働くロボットは出てくると思いますよ。
通信インフラ
災害時には通信インフラが損傷することが多く、救援活動に支障をきたす場合があります。
そのための代替手段がドローンを使用した臨時の通信ネットワークの確立。
ドローンに基地局機能を持たせることで、被災地と外部との通信を維持することを可能になります。
すでにNTTドコモやソフトバンクが中継ドローンの運用を始めており、災害時に向けた実用性の向上を目指しています。
これが実現すれば、救援隊と指令センター間の連絡がスムーズに行われ、救助活動の効率が向上するでしょう。
災害復旧のケース
建設・重機
地震や津波で損壊したインフラの復旧作業に使われるロボットです。
建設機械はもともとが「ロボット」としての機能を持っていますが(人の手で動かす機械という意味で)、これらをさらに災害用に発展させた重機ロボットや建設ロボットが存在します。
重機ロボットのメーカー「人機一体」は、世界でも類を見ない「人型巨大重機ロボット」の代表格。
テレビでも取り上げられて、私もその凄さを見入ってしまいました。
オペレーターの手の操作が反映され、人型重機ロボがその通りに動くという精巧さとダイナミックさ。
巨大サイズということであり、人間では危険すぎる場所でも作業を行うことができますし、従来の座席のハンドルで操作するモデルとは違う「人の動きを反映できる」細やかさが素晴らしいですね。
環境調査と安全確認
災害後の環境調査も重要な任務です。
とくに人が立ち入れない危険な地域ではロボットの活用が必須。
放射能漏れや化学物質の流出が疑われる場合、専門のセンサーを搭載したロボットが現場を調査し、安全を確認します。
福島第一原発事故の際には、放射線量が高いために人間が立ち入れない区域で、ロボットが重要な役割を果たしたことでもしられています。
ロジスティクス支援
被災地への物資輸送も、ロボット技術の応用の一つです。
たとえば自律走行車やドローンは道路が寸断されたり、アクセスが困難な地域に迅速に物資を届けることができます。
食料や医薬品、生活必需品を必要としている被災者に対して迅速に支援を行うことが可能になります。
災害時だけでなく、平時のロジ支援としても役立ちますね。
まとめ
ロボット技術は、災害の予測、発生時の対応、復旧という全ての段階において、極めて有用なツールとなります。
人間が直面する危険を減らし、迅速かつ効率的な災害対応を可能にする点で、最強の防災サポートツールといっても過言ではないでしょう。
技術の進歩が伴い、ロボットの役割はますます重要となることは疑いようがありません。
今後もロボット業界の進展をチェックしていきたいと思います。
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