インド洋のモーリシャス沖で日本の長鋪汽船が所有し、商船三井が運航するパナマ船籍のタンカーが座礁して重油が流出した事故。
タンカーから流出した重油はサンゴ礁や、マングローブ林がある海域に広がっていて、生態系や観光資源に大きな打撃を与えていると言われています。
目次
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生態系と地元経済に与える被害は大きい
メディアによると、
・モーリシャスのサンゴ礁には地球上のイシサンゴ類の40%が生息するとされる
・重油がサンゴに付着すると呼吸ができなくなって死滅し、回復に数十年かかる場合もある
・座礁地点から西に約1.5カイリ(約2.8キロ)の場所には、水鳥などの生態系を保存するためのラムサール条約に登録された湿地やマングローブ林があり、被害が及んでいる
・マングローブの根は海水中で複雑に絡み合っていて、ここに流れてきた油は手作業で除去するしかなく、非常に時間がかかる
・美しい自然環境を観光資源としてきたモーリシャスにとって、経済への影響も懸念される
とされており、結構な大事になっています。
重油を運ぶタンカーが座礁して重油が流出する事故は世界でもいくつか起きています。
今回の流出量は以前の事故に比べると少ないといわれています(2010年のメキシコ湾の事故は66万トンで、今回のは1180トン)
とはいえ、流出した海域は貴重な海洋生物の宝庫。
油をいち早く吸い取らないと、サンゴ礁やマングローブ林が死滅してしまう恐れがあり、迅速な対応が必須になります。
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油吸着材シートで重油を吸い取る!
重油はマングローブ林の密集している場所まで及んでいるので、バキュームやポンプで吸い取るのは難しくなっており、油を中和する溶液を使うと環境に悪影響を与えてしまいかねません。
専門家やボランティアによる手作業での除去作業が続けてられていますが、そんな中、日本の企業が名乗りを挙げたというニュース。
インド洋の世界的な観光地「モーリシャス」島沖で発生した貨物船による重油流出事故が発生し、報道のとおり重大な被害が確認されています。この事故をうけ、弊社マジックファイバー油吸着材が油除去作業のお役に立てないか、関係者と協議を始めました。
エムテックス(正式名称「エム・テックス|M-TEchX Inc.」)は東京に本社をおくナノファイバー繊維の企業です。
同社が得意とするナノファイバー技術を使った吸着素材が今回提供される製品。
実際の使用にシートが耐えるかどうかを試すため「一部」を現地に送ったというニュースのツイートがこちらです。
この吸着材はすごい。これから世界の海難事故でひっぱりだこになるんじゃないかな?https://t.co/eBiDde4lgL#モーリシャス #エムテックス #マジックファイバー油吸着材
— ゴンタロウ@ボディケアワーカー (@bodycarelike) August 19, 2020
実はこのシートは過去の災害(2019年8月に発生した九州北部大雨による油流出事故)でも使われていて、吸着効果の大きさを証明しています。
今回モーリシャスに送るシートの量はまだ不明ですが、同社のコメントによるとかなりの枚数が必要になるとか。
仮に全ての油(約4000トン)が流出してしまった場合、ざっと計算するとマジックファイバー油吸着材の場合は約400万枚以上必要となるほどの量です。吸着量が優れ、油を保持し、水は吸わないマジックファイバーで400万枚以上であるため、既製品の場合さらに枚数が必要となる可能性があります。
400万枚は凄い量ですね。
一体どんな働きを持っているのでしょうか?
マジックファイバーの能力はどんなもの?
エムテックスのホームページで油吸着材シートの性能を動画付きで詳しく載せています。
動画はyoutubeでも見れるので、まずはその威力を以下でご覧あれ。
シートの特徴は以下の2つに集約できます。
・油の保持力が非常に高い
・水を弾いて油だけを吸着する
動画の実験でも他社製品と比較していますが、確かにマジックシートは全ての油をきっちり吸い取っていましたからね。
驚いたのが、2つ目の実験で水の上に浮いた油だけを除去したこと。
これはまさに水中に流出した油の吸着に適しています。
というか、これ以上のものはほかにはないのではないですか?
製品のスペックはこんな感じになっています。
・エム・テックス社の最先端技術であるナノファイバー量産技術(特許取得済:2016年12月2日)を活用した超極細繊維「MAGIC FIBER(マジックファイバー)」
・極細ポリプロピレン繊維製の油吸着材
・極細繊維をシート状に形成し、親油性の高いファイバーが油分を吸着し閉じ込め、短時間で大量除去できる
・飲食店やホテルなどのグリーストラップ向け
ナノファイバーの威力に脱帽。
しかもすでに市販されているということなので(油とり用)、これは買って家でも試してみたいところです。
まとめ
日本の商船と船会社が運航・保有するタンカーが座礁したことでインド洋の美しい自然が汚染されることは、日本人として心苦しく思います。
船長の責任が重いとはいえ(インド人)、最終的な責任は船員を雇った側にあるわけですから、ここはきっちり流出した油を回収しておかないといけないでしょうね。
そこで出てきた油吸着材シート「マジックファーバー」の登場はすごく頼もしい。
油だけを吸い取って、自然環境に害をもたらさないところが、いかにも日本的でいい感じですよね。
実際に過去の国内の油流出事故でも使えることが分かっているので、ぜひ今回も大いに役立って欲しいと思います。