リフォームについての内容です。
災害というと、地震や台風、津波などの自然災害を思い浮かべてしまうかもしれませんが、自宅内で怪我をしたり事故を起こすことも「災害」の一つになります。
そしてそれを防ぐための対策も「家の防災」と私は考えています。
とくに高齢者になると、体が動くときには感じなかった「不便さ」を家のあちこちで実感するようになります。
我が家も昔、90才になる祖母と同居していたことがあったので、色々な問題に直面することがありました。
今回はそういった過去の体験に照らし合わせながら、自宅のリフォーム(家の防災)についての情報を紹介していこうと思います。
目次
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高齢者向けに必要になるリフォームの箇所
高齢者になると、まず最初に「足」が動かなくなってくることが多いと思います。
70代はまだ全然大丈夫でしょうが、80代、90代になってくると、よほど普段から運動や散歩で体を動かしていない限り、徐々に足の機能は衰えてきます。
そんな時に、それまで気にならなかった自宅内の「障害物」がツラくなってくるもの。
・階段
・床の段差(風呂場など)
・トイレ(和式)
・浴室
・床材
まず「階段」ですが、足腰が弱って来ると、階段の上り下りするのがツラくなってきます。
マンション住まいだとそういう問題は出てきませんが、戸建ての2階以上ある家だと、高齢者の部屋の場所によっては移動が非常にきつくなってくるので、対策が必要です。
「床の段差」は、高齢者の足が動きにくくなる原因の一つが「膝が上がりにくくなる」ことにあります。
お年寄りがヨチヨチ歩きでゆっくり歩く姿を見たことがあると思いますが、あの状態がまさにそうですね。
膝が上がりにくくなった高齢者にとって「ほんの少しの段差」でも乗り越えるのが大変なもの。
家の中に少しの段差があると、そこでつまずいたりして怪我のもとになります。
転倒して骨折してしまうと寝た切りになってしまうので、段差の解消は非常に大切です。
3つ目の「トイレ」は、古い家によくある、昔ながらの和式のしゃがむタイプの場合になります。
これは言うまでもなく、足腰が弱ったお年寄りには厳しい姿勢です。
膝が動かなくなると、そもそもしゃがめませんし、しゃがめても転んでしまったり、そこで頭を打ったり足を骨折したりする危険も出てきます。
これも対処すべき課題です。
4つ目の「浴室」は、高齢者がお湯に浸かろうとバスタブに入る場合に起きるトラブルです。
足腰が弱っていると、足そのものを上げられない可能性が考えられます。
床の段差にもつながるのですが、バスタブそのものが「高い段差」になってしまいます。
さらにバスアブに入れたとしても、風呂桶の中に座った状態で立ち上がれなくなる危険があります。
私の祖母がこれで死にかけたのですが、器具などの設置だけでなく、誰か近くに控えていることも重要になってくると思います。
最後の「床材」も、転倒の危険性を防ぐために気を付けるべきポイントです。
膝が上がりにくくなっている高齢者にとって、移動する際に足がひっかかりやすい床材は転倒する最も大きな原因です。
祖母もこれで何度も部屋の中でこけていたので、カーペットを変えるなどして対策をとっていました。
足の状態を見ながら、適切な床材を使うことが大切ですね。
以上の5つが高齢者向けのリフォームで気を付けるべきところになります。
では次に具体的な方法を紹介していきましょう。
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高齢者向けの自宅リフォーム&対策の具体例
「階段」編
階段に関する改善策です。
最優先すべきは「お年寄りの部屋を1階に移動させること」になると思います。
これだと改修する必要がありません。
あとは床の段差や扉の問題をクリアするだけでよいので、リフォームの費用的にも安く済みます。
ただどうしても2階もしくはそれ以上の階から移動できないという場合には、階段のある壁面に「手すり」を取り付けることを強くおすすめします。
手すりがあると高齢者自身がそれを掴みながら降りてこれますし、家族の介助があればより安全に移動ができますからね。
私の祖母は震災前に住んでいた昔の家の2階が自分の部屋で、階段には手すりもなく、かなり急な階段でした。
なので、足腰が弱ってきたときに、2階から一階に降りてくる際に足を滑らせてしまい、ゴロゴロと下まで転がってしまったのです。
幸い怪我がなくて無事だったのですが、打ちどころが悪ければ、骨折もしくは死に至っていた事故になっていたと思います。
なので最低限「手すり」の設置は、2階建て以上の戸建て住宅で高齢者がいる家庭では必要なのかなと実感しています。
「床の段差」編
家の中にある「段差」は足腰が弱くなった高齢者には負担になります。
その中でも最も大変なのが「浴室の段差」。
着替える場所と浴室内とで段差がある家では、お風呂に入る際に高齢者が入りやすいようにしなければいけません。
最も手軽でお金がかからないのが「すのこ」を敷いてあげること。
これで床を底上げすると「段差」が解消されます。
他にも玄関の上がり框の段差も、高さがある場合は、式台(踏み台)を設置して上りやすいようにしてあげると良いと思います。
そうした補助器具では対応できない場合は、床の底上げのためのリフォーム工事が必要になってくるので、専門の業者と相談しながら進めていくと良いですね。
「トイレ」編
しゃがまないといけない和式の場合は、洋式便座に代えること一択になります。
リフォームで専門業者に行ってもらうのも良いですし、和式便器の上に取り付けるだけで済むタイプでも大丈夫です。
昔の家に住んでいた時は和式便座だったので、祖母用に簡易の洋式カバーを買ってきて取り付けていました。
和式便座の上に乗っけるだけで済むので安上がりですし、工事も必要がありませんので便利ですよ。
ただ素材が軽いので、何度も載っているうちに壊れてしまう可能性もありますから、長期的にみれば洋式便座にリフォームすることをお勧めします。
同じくトイレ内にも「手すり」があると、足腰の弱った高齢者には助かると思います。
祖母は後年は自分自身で便座に座ったり、立ったりできなくなっていたので、手すりの存在は有難かったですね。
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「浴室」編
浴室内のバスタブの高さが問題です。
浴室の床の上に設置してあるタイプだと、バスタブに入るときに足を上げてまたがないといけません。
足の弱った高齢者にはこれが大変な作業になりますし、頑張って足を上げたときに転倒でもすれば事故につながります。
なので、
・シャワーで済ませる
・介助者が常にサポートする
・手すりを設置する
・移乗台を使う
・浴室の底をリフォーム工事で底上げする
・浴室の床に浴槽をはめ込むリフォーム工事で取り付ける
の6つが対策として挙げられるかと。
バスタブに入ったときに「手すり」があると、湯船から体を持ち上げるときの支点にできます(手で手すりを掴みながら立ち上がる)、
乗ったままで浴槽内に移動できる「移乗台」を使うのも良いでしょう。
もし湯船に浸かりすぎてのぼせてしまったときや、足腰に力が入らなくなってしまったとき、腕の力が弱っている時は、手すりを掴んでも自分の体を持ち上げられないケースがあります。
祖母がこれで自分の体を持ち上げられずに、30分も熱い湯船の中に浸かってしまうことになり、もう少しでのぼせて水死するところでした。
慌てて湯船の栓を抜いてお湯を逃がし、祖母を持ち上げたという経緯があります。
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なので、足腰が弱った高齢者のお風呂は、何はともあれ、家族のサポートが前提条件かなと思っています。
「床材」編
転倒防止のための床材選びは意外に大切です。
自分だけで歩ける場合だと、逆に足を引っかけたり滑らせて転倒するリスクがあるからです。
「転倒防止」床材は、以下のような場所と素材別で揃えると良いと思います。
【床がタイルの浴室】
⇒ユニットバス、ノンスリップタイル、シートを貼る
【フローリングの廊下】
⇒タイルカーペット、ニードルパンチ、コルクタイル
【床がタイルのトイレ】
⇒クッションフロア、ノンスリップタイル、防水フローリング
我が家の場合は、浴室はユニットバスで、トイレはクッションフロアだったので、滑る心配は少なかったですが、廊下がフローリングだったので、滑りにくいタイルカーペットを敷いていました。
また逆に今のカーペットが足が引っかかりやすいタイプだったので、スムーズでかつ滑りにくいクッションフロアを使っていましたね。
高齢者の足の状態と実際の歩行の様子を見て、場所に合った素材を選ぶことが大切だと思います。
リフォーム工事をする際のポイント
最後にリフォームを業者に依頼して工事を行ってもらう際の「気を付けるべきポイント」を挙げておきます。
高齢者向けのバリアフリー向けですが、一般的なリフォームや防災用の改修を依頼する際の参考にしてもらえればと思います。
>1社に決めずに、2~3社に見積もりを依頼する
>できるだけ地元(近所)の業者を選ぶ
>まずは小さな工事から依頼してみる(業者のレベルをみる)
>設備や施工場所に特化した業者を選ぶ
・住宅建築の施工:水道屋、ガス屋、電気屋などの設備工事業者
・大工工事の施工:塗装、左官、建具工事 など
>リフォームのプランや見積書を提示されるときに、営業担当の人柄ではなく、中身をきちんとチェックする(以下)
・見積書の内容を分かりやすく説明してくれるのか
・リフォームのプランを具体的に説明してくれるのか
・複数のプランと金額をちゃんと提示してくれるのか
上記にも書いていますが、基本的には地元の業者を選ぶことをお勧めします。
なぜなら、地元であれば何か不備があったときにもすぐに対応してもらえますし、そのほかの工事でも相談に乗ってくれることが多いからです。
また地元だと業者の評判があるので、あまり無茶な対応はしないという点も大きいです。
また新築の戸建てを建てた経験があるなら、問題がなかった場合はそのときの業者を優先で選ぶと良いと思います。
すでに実績と信頼があるので、安心してリフォームもお願いすることができます。
逆に避けた方がよいのは、遠方の訪問販売業者です。
理由はシンプルで「無茶な対応」をしても「逃げられる」可能性がありますから。
とはいえ基本は「信頼」「実績」ですので、そこさえきっちりしている業者であれば、地元でなくても問題ないと思いますね。
なので地元業者に心当たりがなければ、以下のような比較サイトで検討してみるのもありだと思います。
まとめ
以上が高齢者のための自宅リフォームで気を付けるべきポイントと、リフォーム業者を選ぶ時の注意点です。
リフォームは住んでいる人が暮らしやすくするための「家の防災」だと私は思っています。
もちろん大地震や台風、津波から家や家族を守るための「リアルな防災リフォーム」にも役立つ点があると思うので(業者選びなど)、今回の記事がそうしたリフォームを検討している人の参考になれば幸いです。