浅間山が噴火したというニュースを昨日の夜に受けました。
登録しているスマホの防災アプリからの知らせで「ブーッ、ブーッ!」という大音量が鳴り、「何事だ!?」と思って手に取ってみてみると浅間山の噴火の警報が・・・
浅間山といえば、群馬県と長野県の境にある山でいわば北関東にあたるため、関西在住の自分の住む地域からは遠く離れています。
なので一瞬ホッとしましたが、とはいえ火山の噴火ともなれば被害の規模は大きいことが想像されるため、慌ててメディアチェックをすることにしました。
まずネットニュースで出てきたのは以下の情報です。
・7日午後10時8分ごろに発生
・噴煙の高さは火口から1800メートル超え
・人的、建造物の被害なし
・噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から3(入山規制)に引き上げた
・対象自治体は群馬県が嬬恋村、長野県は小諸市、軽井沢町、御代田町
これだけでは分かりにくいですが、少なくとも周囲に人家が密集している地域ではないことは確かなよう。
気象庁ホームページ「浅間山の活動状況」での発表によれば、
・7日22時08分頃の噴火以降、新たな噴火は発生していない
・噴火後に実施した聞き取り調査によると、群馬県嬬恋村、長野原町で降灰が確認された
・地震活動の顕著な活発化は認められていませんが、噴火以降、やや高周波の地震が増加している
・新たなマグマ上昇を示す地殻変動は観測されていない
・噴煙は白色で、火口縁上、概ね700メートル以下で推移している
となっており、降灰まで発生していることに驚きます。
さらに次のような注意喚起を促しています。
・火口から概ね4kmの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒してください
・地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください
・噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が流されて降るため注意してください
・降雨時には土石流にも注意してください
・噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください
今のところは小規模な噴火活動が認められたという情報に思えますが、まだまだ予断は許せません。
また新たな動きがあれば、その都度記事で追記していきたいと思います。
【追記】
水蒸気噴火の可能性が高いようです。(2019年8月9日)
「火山灰にマグマ見られず 浅間山、水蒸気噴火か 」日経電子版
水蒸気噴火に関しては、以下のターンで詳しいことに触れていますので、引き続きご覧ください。
目次
火山の噴火による災害・被害とは?
火山の噴火は「マグマ」「水蒸気」「マグマ水蒸気」の3つの原因によって起こるといいます。
マグマによる噴火は、地球内部の深い場所から上昇し、マグマ溜まりに溜まったマグマが許容量を超えて地表へと噴出することで発生します。
水蒸気による噴火は、マグマの熱で地下水や湖水が加熱されて水蒸気となって急激に膨張し、周囲の岩石を吹き飛ばすことで発生します。(比較的に規模が小さい)
マグマ水蒸気爆発は、その両方が起きるタイプといわれています。
こうした噴火がもたらす災害は、テレビや映画で見るような溶岩流だけではありません。
火山灰、火砕流、火山ガスなども溶岩流レベルで大きな被害をもたらします。
それぞれの特徴をまとめていきましょう。
【火山灰】
・太陽光を遮るために視界が悪化するだけではなく、大規模になると空高く舞い上がるために飛行機などの交通にも大きな影響が出る
・電気やガスなどのインフラにも被害をもたらすだけでなく、目や鼻に入ると喉に傷ができ、ガラス質の先が尖った灰が目に入ると眼球を傷つけてしまう可能性がある
【溶岩流】
700℃~1200℃と非常に高温ですが、粘性が低い玄武岩の溶岩流でも時速20キロ程度なので、比較的に避難は容易といわれています。ただ建築物が焼失してしまうために、その面での被害は甚大です。
【火砕流】
・溶岩の破片、火山ガス、火山灰が一体となって高速で山の斜面を流れる現象を指しますが、その速度は驚異的で時速100キロともいわれている
・木や建物をなぎ倒し、地面を侵食するほどの破壊力を持つだけでなく、高速で迫ってくる火砕流は発生した時点で避難するのはほぼ不可能なので、予想される地域を事前に把握して人家や建造物を近づけさせない対策が必要になってくるといえます。
【火山ガス】
・二酸化炭素や硫化水素、二酸化硫黄、塩化水素を含んだ水蒸気
・特に硫化水素は毒性が強く、二酸化炭素は窒息死をもたらす危険があります。
・空気より重い火山ガスは窪地などで濃度が高くなり、風に流れるため、風下でも注意が必要になります。
*草津白根山や八甲田山では登山者が硫化水素ガスで死亡した例もあり(草津白根山の火山ガスについて)
火山噴火による「降灰」対策について
以上のような特性を持つ火山噴火ですが、大都市で起きた場合にはさらなる被害が予想されます。
万が一にですが、もし富士山が噴火した場合には、恐らく関東一円が甚大な被害に見舞われることでしょう。
特に火山灰が及ぼす「降灰」の影響力は非常に大きく、かつて300年前の江戸の富士大噴火の時には、江戸(現在の東京)に12日間の火山灰が降り注いだとされています(「天災から日本史を読みなおす/中公新書・磯田道史著」55ページの記述より)
大都市圏での噴火の被害をまとめてみると、
・視界が急激に悪化し、交通機関綱がマヒする
・健康被害が続出する(目の痛み、息苦しさ)
・降灰量が浄水施設の浄化能力を上回ると、水が濁り、きれいな水の給水が出来なくなる。また下水処理にも影響を及ぼす
・電気機器のトラブルが相次ぎ、コンピュータシステムの不備、オンラインシステムの不具合へと発展する
・農作物の生育に影響を及ぼし、食べ物の供給が滞る可能性がある
・降り積もった火山灰による建築物の損害が甚大(重みで屋根や建物が倒壊する、溝が埋まるなど)
のようになると予想されます。
インフラや家屋の被害を防ぐのは難しいにしても、個人レベルでの対応策としては装備をきちんと揃えることは大切です。
以下に「独立行政法人 防災科学技術研究所」が2007年と2009年に発表した「降灰への備え」PDFファイルから一部を抜粋しておきましょう。
【降灰前に準備しておくもの】
・防塵マスク
・防護めがね
・最低3日分の十分な飲用水(1人1日約4リットル)
・最低3日分の家族とペット用の十分な保存食
・ラップ(電化製品に火山灰が入らないようにするため)
・電池式ラジオと予備の電池
・手さげランプや懐中電灯、予備の電池
・暖炉やストーブ用の予備の燃料(寒い場合)
・予備の毛布と暖かい衣類(寒い場合)
・家族とペット用の予備の医薬品
・救急箱
・清掃用具(ほうき、掃除機とその交換用ごみ袋・フィル
ター、ショベル)
・多少の現金(現金自動支払機や銀行が利用できない可能
性あり)
・ 自動車内に閉じ込められる可能性もあるので、車内にも
防災用品を準備する
上記以外の対策グッズは、これまでにもこのブログで多く取り上げてきました。
以下にそれぞれ対応する過去記事リンクを貼っておきます。
【飲料水&保存食】
⇒おすすめ10選!ネットで購入できる災害備蓄用の水を紹介!【保存可能年数別】
⇒災害時に不足しがちなビタミン・ミネラルを含んだ食品・飲み物をまとめて紹介
【ラップなど】
⇒防災に使える100円ショップの商品17点(+おまけ6点)を紹介
【電動ラジオと予備の電池】
⇒ソニーのポータブルラジオ購入レビュー!電池式なので災害時でも安心して使えます!
⇒パナソニックの単3乾電池「エボルタ・ネオ」購入!ギネス世界記録の長持ち性能で災害時に備えよう!
【懐中電灯など】
⇒災害時の照明に便利!ペツルのヘッドライト購入レビュー!【PETZL TIKKINA E91AB】
【暖炉やストーブ用の予備の燃料】
⇒【防災グッズ】災害時の調理に便利!ポケットストーブ「エスビット」レビュー!
【予備の毛布】
⇒非常用ブランケット購入レビュー&エマージェンシーシート5選
【ペット用の災害グッズはこちら】
防塵マスクや防護メガネはネット通販でも購入可能です。
灰を取り除くためのショベルは携帯式のものがあれば、持ち運びに便利です。
まとめ
浅間山で発生した火山噴火の情報と、火山噴火による災害と対策を紹介させてもらいました。
浅間山に関しては、今のところ人的被害がないということですが、噴火は地震と連動していることもあり得るので、今後も事態の推移を見守る必要があるかと思います。
最後の降灰対策については、専門書やサイト、関連団体の情報を参考にまとめさせてもらったので、私自身も調べながら非常に参考になりました。
火山噴火の危険性がある地域は限られますが、大都市の東京に近い富士山の噴火の可能性は非常に高いといわれています。
私の住む関西が範囲に入る南海トラフ沖地震、首都直下型地震に並ぶ巨大自然災害の一つとして、個人レベルで様々な災害への備えを進めていければと思います。
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