【NHKスペシャル 東日本大震災その後】在宅被災者の実態と失われた故郷への思い

投稿日:2019年3月11日 更新日:

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2011年3月11日に発生した東日本大震災。

岩手県、福島県、宮城県を中心に、死者・重軽傷者を含めると、2万人近い方々が亡くなった未曽有の災害でした。

震災から8年経過した現在も、原発の問題や、地元住民の帰還など、まだまだ解決できていない問題が続いているといえます。

今回のNHKスペシャルは「シリーズ東日本大震災:取り残される被災者」。

シリーズ東日本大震災終(つい)の住みかと言うけれど… ~取り残される被災者~

震災後なお続く「在宅被災者」と、変わり果てた故郷を目にして「喪失感」を味わう帰還住民の現状について取り上げていました。

今回は番組の内容に沿ってレビューしていきたいと思います。

被災地の光と影

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イメージ画像です

震災から8年経ち、被災地となった地域では災害公営住宅がほぼ完成して、復興は順調に進んでいるように見えます。

しかしその一方で新たに移り住んだ住宅で孤独死を迎えたり、壊れたままの自宅に住み続ける在宅被災者の実態がありました。

全壊したことで支援金が支給されつつも、それだけでは賄えない自宅の修理費用や、被災時に怪我をしてしまって避難所に行けない状態にいる方など、様々な問題が在宅被災者を待っていました。

冒頭に紹介された被災者の方は、仮設住宅の入居を希望しつつも、入居条件は自宅を失った被災者に限定されるため、1階部分が壊れたまま、自宅の2階で住まざるを得ないこと、自宅を修理するために利用した復興支援金では、全ての費用を賄いきれないために、結局は半壊状態の自宅に住まざるを得ないことなど・・

地元の役所でも対応は限界に達しており、国の支援が欠かせない状態にあるというニュアンスのことを、現地の役所担当者が語っていました。

一方で、新たに設営された災害公営住宅でも問題が発生しています。

それは「孤独死」

誰にも知られず、死後数か月たった状態で発見された高齢者もいたということ。

さらに出てきたのが、入居住民の健康の問題です。

孤独死だけでなく、新たな環境に住むことに慣れない住民が「睡眠障害」などを患うケースも増えているといいます。

知っている人が、次々に亡くなっていく寂しさ・・

高齢者にとって、見知った環境から離れることの辛さだけでなく、知り合いがいなくなることの辛さも加味されると思います。

中には複数回引っ越すケースもあり(全体の4割近く)、それによって「リロケーションダメージ(移転障害)」が起こっているとも伝えていました。

・引っ越す回数が増えていくにつれて、人と人との関係が疎遠になっていく

・落ちこぼれていく人が出てくる

・さまざまな地域のつながりが弱くなる

こうした要因が「睡眠障害」とい形で表れていくといいます。

そしてそれは重度のうつ病に変わっていく恐れもあるということ・・・

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公営災害住宅に住むことで逆に孤立してしまうという状況に対して、自治体(仙台市役所)は「住民同士の支えあいが望ましい」という見解を提示していました。

住宅の自治会では「見守り」の重要性を理解し、住民の情報を得ようと役所との話し合いの場を持ちますが、「個人情報の保護の観点から、入居住民の情報は伝えられない」「自分たちで解決してほしい」という回答しか返ってきませんでした。

これに対して岩手県では「暖チーズ」と呼ばれる、地元の地域住民による公営災害住宅への見守り活動が活発に行われているということ。

積極的な声かけはもちろんのこと、ポストに郵便物がたまっていたら、周りの人にも連絡をとって安否を確認すること、交流会を開いてコミュニケーションをとるなど、引きこもりがちな被災者が周囲と孤立しないような活動を、日々続けているとのことでした。

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失われた故郷、新たな支援

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イメージ画像です

原発事故があった福島県では、行政による仮設住宅の無償提供の停止や、放射線量の低下によって国が故郷への帰還政策を進めるなど、被災者への支援が次々と打ち切られている現実があります。

番組では、かつて家族と共に住んでいた自宅を解体する現場に、スタッフが同行する場面を映していました。

その男性は先祖代々住んでいた土地にマイホームに建てましたが、それまで一緒に住んでいた子供さんが転居先から戻らないという意思を示したことや、家の維持費や帰還後の生活の再建を望めないということを考え、最終的に家の解体を決断したといいます。

最後は自宅が目の前で解体されていく姿を目にしながら「耐えられない」と目を抑え、ついに最後までその作業を見つめることなく、途中で帰られていました。

家はあるにも関わらず、避難指示によって帰れない状況が続き、故郷を失ったのかどうかわからない「あいまいな喪失」と呼ばれる心理状況。

そして実際に帰還した後も、誰も住んでいない故郷に戻って感じる「明確な喪失感」

自分の思い描いていた故郷ではないことを知り、生きがいを失って、アルコールに浸ってしまう男性・・・

こうした方々の生活を支援するために、様々な活動が行われています。

そのうちの一つに、様々な分野のプロフェッショナルを集めて「チーム」として支援を行う、宮城県のボランティア団体があります。

壊れたままの家に住む在宅支援者に、それぞれの分野の専門家と協力してサポートしていく「災害ケースマネジメント」が実践されていて、実際に支援の様子が映されていました。

その分野は多岐にわたっており、家の修理について相談に乗る「建築士」、法律上のトラブルや行政との折衝は「弁護士」、他にも医療や福祉、ファイナンシャルプランナー、就労支援、心のケア、フードバンク、学習支援など、複数の団体との連携になります。

一方で3年前に震度6弱の地震(鳥取県中部地震)が発生した鳥取県では、この災害ケースマネジメントを制度化し、各自治体・ボランティア団体などによるケース会議を経て、専門家を被災者の家に派遣しているようです。

前述のボランティア団体は無償での支援でしたが、鳥取県の場合は県が費用負担した上でのマネジメントになるため、より効果的な支援が望めるのかもしれません。

まとめ

震災から8年経過し、被災地の復興もずいぶんと進んだのではないかと勝手に思っていましたが、こうやって現地で起きる様々な問題を見ていると、まだまだ完全な復興は遠いのだなと感じさせられました。

我が家も阪神淡路大震災で自宅が倒壊し、避難することになりました。

結局はその場所を離れて他の地域で住むことになったのですが、当時は借家だったこともあり、そこまでの執着は無かったと思います。

20年前の阪神淡路大震災で体験したこと、感じた事

しかし東北での震災では、先祖代々その土地に住まわれている方が多く、そういった方々にとって他の場所に越すというのは、その意味するところの重さや深さは自分たちとは比べ物にならないものがあるのだろうな・・と今回の放送を見て改めて感じました。

一方で高齢者にとって新しい環境に順応することの難しさもあり、仮に自宅に戻れたとしても、その場所がかつての面影を保っていないことや、見知る人が誰もいないという状態に精神的なダメージを受けることも。。。

最後に取り上げられた「災害ケースマネジメント」は、番組で初めて知ったシステムでしたが、建物の問題だけでなく、財政や健康、心のケアなど、各分野による専門家による被災者への幅広い生活再建が行われているということでした。

こうした総合的なサポートシステムにより、物理的な支援だけでなく、精神的な負担を受けた被災者への支援が進むことを願っています。

一日でも早い被災地の完全な復興と、そこに住む人々の心のケアが成されることを・・・

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