防災と災害について考えるブログ

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災害時に役立つ「液体ミルク」の販売が解禁!今後の商品流通化の課題とは?


少し前の記事になりますが(2018年8月7日)、日本国内でそれまで許可されていなかった「乳幼児用の液体ミルク」の国内販売が解禁になったようです。

www.nikkei.com

粉ミルクのように湯を使わずに、その場で赤ちゃんにミルクを飲ませてあげられるという点で「防災用の飲料」として非常に優れた働きを持つミルクですが、実際に商品として流通するにあたっては様々な課題があるとのこと。

今回はそうした「液体ミルク」についての課題を取り上げてみたいと思います。

 

 

「液体ミルク」流通化への課題

 

今回の「液体ミルク」解禁は災害時への備えや、女性の社会進出を受けて今年の8月に厚生労働省が改正省令を発令したことで可能になったようです。

www.sankeibiz.jp

記事では液体ミルクの利点は、粉ミルクが沸騰させた湯でミルクを溶かし、冷ます必要があるのに対し、開封後にそのまま飲ませられるというところにあるといいます。

同時に外出時や移動中にお湯の入手方法を心配する必要がなく、親の負担軽減につながることも大きな利点なのだとか。

安全な飲み水や、哺乳瓶の確保が難しい災害時にも役立つということで、防災という観点でみれば素晴らしい飲料だといえると思います。

一方で販売を担当することになる国内企業からは、商品流通化への慎重な声が出ているとのこと。

記事ではその理由を以下のように示しています。

 

新たな設備投資が必要になるほか、価格が割高で利用は外出時などに限定されるため、減少する乳児用ミルク需要のてこ入れにはならないと予想されている。

 

業界団体、日本乳業協会の難波和美広報部長は、安全性承認に向けた申請作業や工場の整備が必要なため、各社が製品の販売を開始するまでには最短で1-2年かかるとの見通しを示した。

 

世界の乳児用ミルク市場でも液体ミルクは全体の1割ほどに過ぎず、新たな設備投資が必要なためメーカーにとっては負担になると話した。しかし、各社は「社会的な貢献という意味で対応せざるを得ない」とみている。

 

製造コストや利潤ということを考えると、なかなか厳しい現状があるようですね。

最後の「社会的貢献という意味で対応せざるを得ない」という言葉が、業界の本音を表しているのではないでしょうか。

加えて、

 

江崎グリコ広報担当の青山花氏は、乳児が飲む製品のため通常の牛乳よりも細かい基準を満たす必要があり「異なる製造設備が必要」と述べた。

 

ともあって、少子化の影響で粉ミルクの売り上げも減少している中(1990年に5782万キログラムだった国内の調製粉乳生産量は、2016年には2766万キログラム⇒上記リンク記事より)、新たに製造ラインを立ち上げることへ二の足を踏む内実も浮き彫りになっています。

 

災害地で喜ばれる液体ミルク

 

ただ実際に液体ミルクが配られた災害地では、断水などで飲料水確保の制限を受けたこともあり、配布されたことで「助かった」という声も出ているようです。

www.nishinippon.co.jp

記事では、熊本地震の際に断水が3週間続いた後も復旧した水道の水が濁っていたために、保育園のゼロ歳児に飲ませる粉ミルク用の水を煮沸していたとのこと。

そんなときに北欧フィンランドからの支援物資として液体ミルクが届けられ、200mlの紙パック5千個が被害の大きかった自治体の保育所に配布されたといいます。

衛生環境が悪化している中で、水を確保して粉ミルクを飲ませることの大変さや、外出時にお湯と水を水筒に入れて持ち歩く大変さ、地震のショックや生活のストレスで母乳が出にくくなったという声もある中、それまで認められていなかった国内製造を求めるインターネット署名運動では、熊本地震の発生後の1か月後に4万人もの数が集まったとか。

まさに現地の切実な声という感じで、小さなお子さんをもつお母さんにとっては、災害時での必需品という認識だけではなく、普段の生活の負担を減らすアイテムとして大きく支持されていることが分かります。

そんなリアルな声を含めての8月の法改正ということになりますが、これが実際に企業単位で実現できるのか、そして流通がスムーズに行われるようになるのか、もし商品化したとしても、それが市場できちんと出回って維持できるのか?

そういった現実的な問題も含めて、これからの展開に注目していきたいと思います。

 

まとめ

 

このブログでも防災用飲料の一つとして「粉ミルク」を取り上げたことがありました。

www.bousai1000.com

そのまま飲める液体ミルクに比べれば、粉ミルクはどうしてもお湯が必要なこともあって、災害地での利便性という面に限って考えると少し不便なのかもしれません。

生活インフラが破壊された状況下で赤ちゃんを育てる大変さは、お母さんにしか分からないと思いますので、そうした面でも今回の記事でそのリアルな声を知ることができて良かったなと思います。

国内製造が実施されるのは2019年以降ということで、これまで海外輸入品に頼っていた液体ミルクの価格や安全性が、来年以降、大きく良い方向に変化していることを願っています。

アメリカ製「シミラック」です

日本の豆乳タイプです